第5回 動物病院でクレドを作っても上手くいかないワケ

 今から7年前くらいはクレドが注目されました。
元リッツ・カールトンホテルの日本支社長の高野登氏が『リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間』(かんき出版)を出版し、その他でもクレドに関する書籍が多数出版されました。
人事業界においてもクレドに注目が集まり、コンサルタントが提案して企業に導入することが増えていきました。私もその一人です。
クレドは簡単にいうと行動指針です。企業活動において大切にしたい価値観や行動規範を文章として明確化したものです。

 ある程度の規模の動物病院ではクレドを作成した動物病院も多いと思います。
しかしせっかく作っても効果がないとか、変わらないということをよく耳にします。
実は作成するのは簡単です。問題は作成した後です。労力的には

作成3割 運用7割

といった感じです。
多くは作成して満足してその後ができていません。
もっと言うと作成するプロセスを間違えると上手くいきません。

上手くいかないパターンは、院長と外部のコンサルタントが作成することです。
時間をかけて良いものができたと思ってスタッフに周知しても内心は

「また面倒くさいのができたな」

と思っていることが多いです。
ではどうすれば良いかというと、最初からスタッフに作ってもらうことです。

人から言われるとやらされ感になり、自分が携わったことは自分事

人から言われるとやらされ感になり、自分が携わったことは自分事

となります。とはいえ、自分が関わったとしてもやらないことはありますが、「これは誰かが決めたのではなく、あなたも考えたメンバーの1人だよね。

だからしっかりやっていこう。」

と伝えながらやっていくことになります。
しかしスタッフ主導で進めるのもまた難しく、病院の方向性やクレドを作る目的を説明しないと的外れなものができてしまいます。そして短時間で作ろうとするとやっつけ仕事になり適当な内容になります。

私は動物病院のクレド作成は試行錯誤して取り組んできましたが、作成のプロセスはスタッフ育成の一環だと考えています。

  • 自分達はなぜ今の仕事をやろうと思ったのか?
  • 自分達はどうあるべきか?
  • 仕事をするにあたって大切なことは何か?

 

このようなことを考えながら取り組んでいくので自分の仕事に対する姿勢を見直す機会にもなります。
普段このようなことを話すこともないと思うので、お互いを知ることにもつながります。
私の方からはこうしたらいいということは言わず、自分達で考えるようにしています。
時には膠着して進まない時もありますが、口を出さずに見守っています。
「こういう時はどうしたらいいですか?」とか「他ではどうしてるんですか?」と聞かれたら考え方やヒントを伝えていますが基本的にはスタッフ主導で進めます。
膠着した時にすぐにやり方を教えてしまうのか、自分達で状況を打開できるように支援するのかでその先の結果は変わります。

こうしてなんとかできたクレドをどのように定着させるかが次の課題です。
これもスタッフに考えてもらいます。
定着させるためによく出てくるのが、

朝礼で読み合わせる

です。あれこれやらずにまずはできるところからで良いと思います。
ある病院では、毎月クレドの1項目を強化月間としてそれぞれが何をやるかを決めて仕事に取り組むということをやっています。
やっていくうちにいろいろとアイデアが出てくるようになります。

クレドを作っただけでは何も変化は起きず、せっかく作っても形骸化していきます。
繰り返しになりますが、重要なのはプロセスです。
単に完成を目的とするのではなく、スタッフの仕事に対する姿勢を改めて考える時間、病院で働く上での大切にしたい価値観の共有という目的で進めると良いと思います。

日常業務でスタッフの口からクレドに記載されている文言が自然と出るようになってきたら浸透してきた証です。
こうなると病院の雰囲気も変わり、より良い職場へとなっていくでしょう。

 

 

 

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