人生100年時代に起こりうる長生きリスクの備え

2019年に「老後資金2,000万円問題」が話題となりました。
おそらく年金受給開始は70歳以降となり、受給額も減額されることが
予想されますが、日本人の平均寿命は年々延び続け、女性は87.45歳、
男性は81.41歳となっています。

私は支援先の動物病院からの帰り道でふと
「動物病院業界で働く方達はどうなるのだろうか?」
と考えました。

動物病院で働く人材は20代、30代が多く、実際に院長先生からスタッフの
年収をお聞きしたところ、おおよその平均では獣医師で400~500万円
看護師で280~450万円です。
退職金がある動物病院は少ないです。

人生100年時代と言われ、人間の寿命が延びています。
長生きできるのは良いことですが、実は長生きに伴うリスクも生じるのです。
平均寿命が延びるのは良いことですが、長生きすればそれだけお金が必要となり、
高齢で働けなくなった時にお金がなければ現実的に生活苦に陥ります。
それが長生きリスクです。

長生きすることで長生きリスクが生じるというのはなんとも
おかしな話ではありますが、実はこれはけっこう深刻です。

多くの人が70歳くらいまで働くことになるかと思います。
しかし100年まで生きた場合、生活費はいくらかかるか考えたことは
あるでしょうか?

例えば月に30万円の生活費がかかるとすると70歳で仕事を
仕事を辞め、100歳まで生きたと仮定すると以下のようになります。

1年の生活費    :30万円×12か月=360万円 
100歳までの生活費:360万円×30年=1億800万円

年金は加味していないのであくまで単純に生活費だけを
計算した数字になりますが、実際に計算してみると
けっこうな金額になり驚きました。
とても2,000万円では足りませんね。

アメリカでは高校で投資についての授業が行われるそうです。
しかし日本では投資教育はなされません。
ほぼ貯金をしているというのが現状です。

アメリカと日本では国民の金融資産が大きく差が開いています。
参考までに下記の記事をご覧下さい。

米国は28年で6500兆円増!日本人の金融資産が増えない理由
https://gentosha-go.com/articles/-/21902

日本人は金融リテラシーが低いことから投資=怪しいという
バイアスがかかり、多くの人は貯金をしているのです。
投資が怪しいという認識を持つのは無理もないことで実際に投資詐欺も多く、
日本人は年間に650億円の被害にあっているそうです。

私自身も41歳の時に自分の今後の人生を考えたとき、
人生100年を想定していろいろ考えました。

日本人は勤労が美徳という価値観やお金の話は汚いことといったことが
幼少期から刷り込まれており、労働収入以外でお金を稼ぐことについて
良しとしないような空気があります。

多くの人は労働収入1本ですが、お金に働いてもらうという意識
を持っている人は少ないです。
一方で投資には興味があるけれどどうすればいいのか分からない
という人は多いです。

少子高齢化が進んでいるため、年金財政も逼迫し60歳から受給できていた
のが70歳になろうとしています。
そして受給額も減るでしょう。
このような状況が見えてきていることから自分で準備していくことが
求められます。

経営が順調な院長はご自身の資産がおありだと思いますので
老後の心配はないかと思いますが、スタッフのことを考えると
どうでしょうか?

退職金を用意するよりも自分で用意できるようにお金の知識も
勉強する時代が来ているのです。

実際にいくつかの動物病院では院長にはご自身の資産形成と
病院の資産形成をお伝えしています。
スタッフにも必要なことということでスタッフにもお金の
勉強会という形で資産形成についての基礎知識を知ってもらう
機会を設けました。

スタッフを雇用するということは、病院でどのように働いてもらうか
ということだけでなく、その人の人生までも考えてあげることが
大事なのではないでしょうか。