離職率の高い動物病院の無限採用活動地獄の恐怖

動物病院業界に限らず、離職率の高い会社は常に採用を
しています。

ある会社では社員数は20名くらいですが、
毎年5~10名採用していますが、人数はほとんど変わりません。
採用してもなかなか定着せず、辞めてしまうからです。

こちらの会社は社労士としての労働問題の相談顧問でお付き合いさせて
頂いており、人材育成、組織作りは行っておりません。

せっかく採用できたのに辞めてしまうというのは非常にもったいないですね。
求人広告費、採用に関する労力など様々なコストが全て無駄になるのですから。

例えば怪我をした犬が運ばれてきたとして傷口から大量の出血があったとき
出血をしないで輸血をするでしょうか?
そのようなバカなことはせず、まずは出血を止めることをやると思います。

離職率の高い会社がまずやることは、離職という出血を止めることです。

なぜスタッフが辞めるのか?
組織のどこに問題があるのか?

こうしたことを考えてスタッフの定着率が良い職場にすることが優先事項です。
もちろん深刻な人手不足であれば採用はする必要がありますので
それはそれでやる必要はあります。

しかし繰り返しになりますが、せっかく採用できても辞めてしまったら
同じことの繰り返しで無限採用活動地獄へと陥ります。

私がご支援させて頂く動物病院は、院長が課題意識を持っておられて
良い病院にしたいという想いがあります。
課題意識は集約すると以下の3つとなります。

・なかなか人が育たない
・組織がまとまっていない
・離職率が高い

売上に関する悩みはほとんどありません。
売上よりも人の問題の方をなんとかしたいということなのです。

私が支援させて頂いた動物病院は、スタッフ数は10人未満でも
数年後には倍に増えていたり、売上も1億円は突破しています。
スタッフの定着率も良くなってくるのでスタッフは少しずつ増えていきます。

これはたまたまではなく、再現性があることから人の問題を解決できれば
院長の悩みは解決できるし、売上も自然と上がるということを
実感しています。

急いては事を仕損じるという言葉があるように、

スタッフの定着率改善なくして採用は上手くいかない

ということです。
そして不思議なことに、定着率が良くなってくると実習に来る学生数が
増えてきます。

ある動物病院は、スタッフ数5名から支援が始まりましたが、現在は14名です。
毎年コンスタントに1~3人採用できていて定着率も良いです。
どんな職場でも必ず数人は辞めますが、採用した人数よりも辞める人の人数が
少ないので増えています。

自然と看護師の実習希望が多くなり、今では多すぎて対応をどうするかを
悩むくらいになりました。

なぜ実習生が増えているのかを院長や看護師さんにお聞きして調べてみました。
推測に過ぎませんが、口コミにより実習生が増えていると思われます。
下記はあくまで想像ですが外れてはいないと思います。

1.学生が実習に来た。
2.後日先生から「実習はどうだった?」と聞かれ、学生が好感を伝える。
3.先生はこれを聞いて「ここの病院は良さそうだから生徒に勧めよう」と思う。
4.良い実習先として学生に勧めるようになる。
5.学生が実習を希望する。
6.1に戻り繰り返されるうちに人気の実習先となる。

このような感じではないでしょうか。
そもそも実習に来た時、現スタッフが「この病院はイイよ」と勧められるか
ということが重要です。

ある動物病院では実習に来る学生はいたけれど、採用に至ったのは0という
ことが続きました。

数年後に知ったのですが、辞めたスタッフが実習生に、

「この病院は院長が酷いから辞めた方がいいよ」

と言っていたのです。
これではどんなに実習生がきても採用はできないでしょう。

スタッフの離職で悩まれていらっしゃる院長は、まず現スタッフが
働きやすい、そしてやりがいをもって働ける環境づくりを考えて
みてください。