動物病院の院長の悩みの90%は人の問題

スタッフ数が増えてくると院長の悩みの90%以上は人の悩みだと聞きました。
ある動物病院の院長が

院長が集まる会合で出るのは人の悩みばかりですよ。
売上とか医療の話にはならないんですよね。

と仰っていました。
経営は順調でも人の問題の悩みはつきないそうです。

病院のステージ毎に課題が変わってくるので
組織と人材についての問題は永遠のテーマではないでしょうか。
ゲームのようにステージをクリアするとまた次のステージが現れる
という感じです。

分院はなく、1つの病院でのスタッフ数の変化によって起こる可能性が
高い組織の問題は以下となります。

スタッフが10名以下の時はカオスの時期です。
休みがなかなか取れない、長時間労働になりがち
といった人手不足による課題が起こりがちです。
忙しいので新人が入っても先輩が忙しいためなかなか
仕事を教えることができず、仕事の偏りが生じていきます。
順調にお客様数が増えてくると常に忙しく疲弊している状態になってきます。

スタッフが10名から20名の時は転換期で、
カオスから少し落ち着いた状況に少しずつ変わっていきます。
人数不足が少しずつ解消されていくとともに、
人数が増えてきたことで院長の目が行き届かなくなります。
またスタッフ間のコミュニケーション不全が生じて
ミスが増えたりもします。

スタッフが20名から30名になってくると大企業病になることがあります。
この規模になると安定を求めて入社してくる人が増えてきます。
そして人数が多くなり、手抜き状態が生まれます。
手抜き状態とは、誰かがやるだろうと自分が気づいてもやらない人が
出てくるので仕事の漏れが度々起きることです。
やらない人が増えているがゆえに院内でのルールが増えてきます。
いろいろなチェックリストができるのですが、チェックリストを
作ってもやらないということが起きるので、チェックリストのための
チェックリストができたりすることもあります。
とにかくやることが増えてきて窮屈になります。

このようにそれぞれのステージでは問題が起きるのです。
しかし予め起こりうる問題点が分かっていれば事前に注意して
対応策を講じることもできるのです。

大事なのは問題が起きた時に解決できる対応力を磨くことです。
人の問題はマニュアル通りにいかないことがほとんどで
同じ問題でも組織によって問題の大きさや内容は異なりますので
自分たちで解決策を考えて実行していかなければなりません。

私が意識しているのは、

自分たちで自分たちの職場の問題を解決できる力を育む

ということです。
そのために必要なのは、今起きている職場の問題をどのように
解決するかを考えて実行することです。

泳ぎ方を習ったとしても実際に水に入って泳がなければ
泳げるようにはなりません。
どんなに理論やノウハウを学んだとしても知っているのと
実際にやるのとでは大きな差があります。

だから実践力をつけるためにはこのようにやることが大事なのです。
私は

今起きているこれらの問題のどれが一番優先順位が高いですか?
どのように解決すればいいですか?

と質問を投げかけ、考えてもらうようにしています。
質問しても5分くらい沈黙の時もあります。

最初から

この問題はこうやって解決したら良いですよ。

と答えを言ってしまったら、みんな考えなくなります。
だから自分たちで考えてもらうことで考える習慣を
身につけてもらえるようにしているのです。

業務をするにあたり、基本事項はしっかりと教えて
覚えてもらうこととなりますが、細かく教えれば教えるほど
自分で考えなくなります。

だからあえて抽象的な質問をして自分で考えるように
していく必要があります。

私自身がいろいろと経験した中で自立した人材に育てるには
どうしたらいいかを考えた結果

教えないで教える

という方法が大事なのだということにいきつきました。